春の遊び 蹴鞠 『若菜上』より


寝殿の前庭から(1)


nifty:FBUNGAKU/MES/12/05738に加筆



1月12日に風俗博物館の新しい展示を見に行ってきました。

今回の展示は「若菜 上」より「六條院春の遊び - 蹴鞠と猫のいたずら - 」です。

弥生ばかりの空うららかなる日、六条の院に、兵部卿宮、衛門督など
参りたまへり。

三月ころの空がうららかに晴れた日、六条の院に、蛍兵部卿宮や、柏木衛門督などが
参上なさいます。

旧暦の弥生といえば、現代なら4月。桜の花がほころび、柳は柔らかな芽をふく、まさに
春たけなわです。

風俗博物館でも、エレべーターの扉が開いた瞬間に満開の桜が優しく出迎えてくれ
ました。こちらには、一足お先に春がやってきていたんですね! (*^^*)

色々紐ときわたる花の木 えならぬ花の蔭にさまよふ若君達
色々紐ときわたる花の木 えならぬ花の蔭にさまよふ若君達

この桜の木は 今回の展示のために半年も前から準備しておられたそうです。
まず本体の木ですが、こちらは本物の桜の木を使っておられました。枝振りのいい木を
選び、葉を落とし、風雨に晒すこと半年で、ようやくこの風合いが生まれたのだそうです。
そして、満開の美しい花! この花もつぼみも すべて博物館のみなさまの手作りだとお
聞きしました。未知さんをはじめ みなさま、すごく器用なんですね!! ('ー'*)

さて、話は少し横道にそれますが、そのだインターネットキャンパスで歴史の講座を受講
した時に、五島先生から『寝覚物語絵巻』の解説をしていただいたことがあります。その
解説の中で、絵巻に描かれた桜について触れられた折に、「デザインのようなリズミカル
な印象を与える。画面の桜の木に比べて花が大きく、かつ正面から見た桜が押したよう
に並んでいることに注意してほしい。」と教えていただきました。

それと全く同じことが、国宝『源氏物語絵巻』竹河(二)の桜
についても言えることに気づいた時、私はとても嬉しく感じ
たものです。
製作時期から考えますと、『寝覚物語絵巻』の中の桜が、
竹河(二)で描かれた桜を踏襲したと考えるべきなのかもし
れません。

竹河(二)において、デザイン化された桜の花は、壺庭の桜
の木に咲いていただけではなく、この絵巻の中で 大君が
着ている桜襲に散らされた模様にまで見ることができます。
国際文通週間「竹河」
(源氏物語絵巻)1989年発行
国際文通週間「竹河」の切手

おっと、話を元に戻しますね。五島先生が「画面の桜の木に比べて花が大きく、かつ正面
から見た桜が押したように並んでいる」と指摘された そういう『源氏物語絵巻』に描かれ
ているような桜が、ここ風俗博物館に一歩足を踏み入れた時に、私の目の前で咲き誇っ
ていたのです。

わずか一本の桜の木にまで、これほど細かい心遣いがされているとは……! と、この場
面だけでも、しばし感動の私でした。


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